牧場から必死に抜け出し、人々に勇気をあたえた子牛の物語

牧場から必死に抜け出し、人々に勇気をあたえた子牛の物語 1.動物・アニマルライツ

今日も当サイトにおこしくださいまして、ありがとうございます。ベジブタです。

今回読んだ海外ニュースは、牧場から勇敢にも逃げ出し、生きのびた子牛のお話です。
いつものように解説をまじえて感想を書いてもよかったのですが、ちょっと雰囲気をかえて、ニュースをもとに「物語」を書いてみました。

今回読んだ記事

子牛のフィン

ある田舎町の牧場に「フィン」という子牛がいました。

フィンはまだ生まれて5ヵ月です。まだ世の中のことを何も知りません。
見た目はまだとても幼く、ほかの動物と一緒で、お母さん牛にべったりです。

ただ、フィンは犬や猫など、他の動物とはまったく違う目的でこの世に生まれてきました。

人間に食べられるために生まれてきたのです。
ただそのためだけに生まれてきました。

悲しいことですが、この世界ではそれが普通のことなのです。

フィンもいつかは、人間に食べられるために牧場から連れ出されます。
フィンの人生は、連れていかれる「その日」を待つだけの人生なのです。

実はそのことをフィンもうすうす感じていました。
まわりの大人の牛たちがひそひそと話すのが聞こえてくるのです。

「わたしたちはいつか連れていかれて殺されるのよ」

それを聞いてフィンは毎日不安な気持ちで暮らしていました。

子牛の物語2

いま季節は冬です。

その日も朝から寒く、太陽はでていますが、きのう降った雪を溶かすほどのいきおいはありませんでいた。

フィンはいつもどおりの一日を過ごしていました。

外から見るとただ生活しているように見えるフィンですが、頭の中は不安でいっぱいです。

「どうやって殺されるんだろう」
「死ぬときは痛いんだろうか」
「自分は本当に、ただ死ぬためだけに生まれてきたんだろうか」

ぼーっとそんなことを考えながら、自分の暮らす小さなオリをながめていました。

「・・・あれ?」

フィンはあることに気づきました。
いつもかかっているはずのカギが、今日はなぜか開いているのです。
そんなことはめったにあることではありません。

フィンは思いつきました。

「逃げられるかもしれない」

外のようすをうかがうと、人間の気配はありません。

フィンは逃げ出すことに決めました。

そっとトビラを開け外にでると、最初はゆっくり、おそるおそる歩きはじめました。
でもすぐに「大丈夫、いける!」と、もうれつに走りはじめました。

フィンは走りました。必死に走りました。

途中なんどか転びましたが、すぐに起き上がって走りました。

すごい速さです。こんなに速く走ったのは生まれてはじめてです。

フィン自身にもこんなに必死に自分が走っていることが不思議でした。
でもフィンの本能が「走れ」と言っています。「生きろ」と言っています。

運よく近くに森があり、そこに逃げ込みました。

大きい木を見つけて、うしろに隠れます。
来た道のようすをうかがってみましたが、どうやら追いかけてくる人間はいないようです。

フィンは大きく息を吐きました。
足をみると震えているのがわかりました。
ものすごく怖かったのです。

子牛の物語3

フィンはそれからずっと森に隠れていました。
お腹がすごく空いたけど、怖くて森から出ることはできませんでした。

ちょうどそのころ、この事件を知った、動物を守る活動をしているひとたちがフィンを助けようと動きはじめていました。

そのひとたちは道路に置いてあるビデオカメラを調べたりして、毎日フィンを探しました。
しかしフィンはなかなか見つかりませんでした。

フィンはこう思ってかくれ続けていました。
「人間につかまると、きっと殺される」
ぜったいに見つかってはいけない。

そうして1週間、2週間とフィンはかくれ続けました。
しかし、いま季節は冬です。
食べものがほとんど見つかりません。

あるときから、どうしてもお腹がすいたフィンは、たまに森をでて、人間の住むところまで出てくるようになりました。

実はそのころにはもう、町のひとたちの間でもこの事件は有名になっていました。
「殺される前にがんばって逃げた、勇敢な子牛がいるらしい。なんとかみんなで助けよう」

そんなある日、家の裏庭でフィンを見つけた女性がいます。
しかし助けようと女性が近寄ると、フィンはすぐ逃げていってしまいました。
彼女が町で一番はじめにフィンを見つけたひとになりました。

そうこうしているうちに、町のほかのひとたちも、たまにフィンを見かけるようになりました。

そしてだんだん見かける回数が多くなり、ついにフィンは無事、保護(ほご)されました。

フィンは町の人たちから、とても大切にあつかわれました。
町のひとたちは愛情をもってフィンに話しかけました。

フィンは町のヒーローになりました。

子牛の物語4

いまフィンは他の動物としあわせに暮らしています。
はじめは人間のことが怖かったけど、しだいになれて、フィンは人間のことを友だちだと思えるようになりました。

フィンを最初に見つけた女性は、しあわせにキラキラと生きているフィンを見て、いままで自分が動物のお肉を食べていたことが恥ずかしくなりました。

そして彼女は今後、動物の肉をたべない生活おくることに決めました。

フィンはそれを聞いて、最初うれしいきもちになったけど、すぐに、いつもそばにいた、やさしいお母さんのことを思い出し、空を見上げました。

「お母さん」

フィンはお母さんのことを想いました。
そして、人間にはおそらく聞こえないであろう小さい声で「ムー」と鳴きました。

子牛の物語5

あとがき

ニュースを読んで、フィンに感動して、
「これは物語にしたらいいかも」
と思って書いてみました。

ぼくにとって人生ではじめて書いた「物語」です。

半分はぼくの脚色がはいっていますが、のこり半分は実際に起きたニュースにそっています。

英語が苦手なかたは、ぜひ下の英単語を参考に、もとのニュースも読んでみてくださいね。
そちらには映像もあって、実際のフィンも見れますよ!

フィンのようなしあわせな動物が、ますます増えますように。

ベジブタ
ベジブタ

今日も英単語の下に「おまけ」あるよ!

記事に出てくる英単語や熟語

  • crafty : ずる賢い、狡猾な
  • slaughter【 slɔ́ːtər 】: 屠殺(とさつ)
  • Finn : 牛の名前
  • sanctuary : 保護区域
  • below : 下部に、後方に
  • detail : ~を詳しく述べる
  • slaughterhouse : 屠畜場
  • calf : 子牛
  • following : 次に続く、次の
  • somehow : どういうわけか
  • outwit : ~の裏をかく、~を出し抜く
  • authorities : 当局
  • locate : 探し当てる
  • locals : 地元住民
  • footage【 fútidʒ 】: 動画映像
  • roam : 歩き回る
  • back garden : 裏庭
  • New Britain : ニューブリテン、アメリカ合衆国コネチカット州の町
  • Connecticut【 kənétikət 】: コネティカット州
  • affectionately【 əfékʃənitli 】: 愛情を込めて、親しみを込めて
  • Moo : 英語におけるウシの声喩(せいゆ、犬のワンワンなど)
  • advocate : 主張する、推奨する、支持する
  • Farm Sanctuary : アメリカの動物保護団体
  • bring in : 参加させる
  • elaborate【 ilǽbərèit 】: 入念な
  • literary : 文学の
  • character : 登場人物、キャラクター
  • due to : ~が原因で、~に起因して
  • appetite : 食欲,欲求
  • herd : 家畜の群れ
  • inspire : 元気づける、を明るくさせる
  • realise(realize) : ~に気付く、~を悟る
  • ethical : 倫理的な、道徳上の
  • The Farm Animal Sanctuary : イングランドの動物保護団体
  • sentient【 sénʃənt 】: 知覚できる、感じることができる
  • deserve : ~の価値がある、~にふさわしい
  • exploit【 iksplɔ́it 】: 不当に利用する

おまけ – Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)

またおまけを「ビリー・アイリッシュ」さんにしてしまいました。
はまっちゃってるな、ぼく。

彼女も動物のしあわせを願うひとりです。

ベジブタ
ベジブタ

それではまた次回のブログで。

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この記事を書いたひと
ベジブタ

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9割ほどのゆるいヴィーガン生活を送っています。
たまに普通のパンも食べるし、革靴も履いています。
普段の生活に、少しヴィーガンを取り入れたい方へ向けて、情報をシェアできたらと思っています。
ちなみにぼくは男性で、趣味は読書と筋トレです。
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